冷たい君の不器用な仮面
「……レイの体…傷だらけだ……」







私は、レイに突き飛ばされた事よりもレイの体にまた大きな傷が増えてしまったことが、ショックだった。









「…ごめ………っ」







私のせいだ。









私がレイに 電話に出ろって無理強いしたから。









あんなにコールがかかってもレイが電話に出なかったのは、こうなる事が分かってたからかもしれない。







分かってた。









レイは自分のその時の気分だけで行動するような人じゃないってことくらい。







何で








何であの時、無理に電話に出させてしまったんだろう。








こんな事になるのも、予想しておかなきゃいけなかった。







レイは普通の高校生じゃない。







詳しい事情は聞いてないけど、初めて会った時血だらけで倒れていたことからして、レイは命が狙われてるってことも何となく分かってた。









なのに何で。







後先のことも考えずに、レイに無理やり電話に出させてしまったんだろう。









私は後悔の念に押されて、目から涙が一筋こぼれ落ちた。
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