冷たい君の不器用な仮面
「はぁっ……はぁっ……」











ーーーここはあのコンクリートの建物の前。










私たちは何とかあの場から逃げきることができた。








全力でこの建物に向かって走り、たどり着いたのだ。










「……離…せ……っ!」








レイは建物の前にたどり着いた瞬間、ドンッと私を突き放す。










私はビックリしてレイを見つめた。











「……悪い……」








レイはガクッと崩れ落ち、ボソッと小さく呟いた。










腕でグッと体を抱きしめ、体を小さく震わせている。








私は声も出せずに、そんなレイの姿を見つめていた。
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