私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「どこ行く」
「…」
心臓がようやく落ち着き始めた頃、季龍さんは切り替えるように足の向きを変える。
その勢いに乗れば、この話はおしまい。
分かってる。その方が都合がいいのに。
でも、それを惜しいと思ってしまう自分がいる。
踏み留まったままの私に、季龍さんから怪訝な視線が向けられる。
また、激しく音を立てようとする心臓を深呼吸でなだめ、顔をあげる。
「…今は、まだ覚悟出来てないです。でも、いつか、いつか全部もらってくれますか?」
季龍さんは動かない。固まってる?
…って、私何言ってるの!!?
あわあわしている間に季龍さんは片手で顔を覆い、特大のため息をついた。
「…アホ」
軽く睨まれながら一言だけ告げられ、腕を引っ張られて行く。
季龍さんを見上げると、顔こそ見えなかったけど、髪から覗く耳が真っ赤になっていた。