医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
聞こえてきた答えに、まだぶわっと涙腺が緩んでいた。
慌てて指で目頭を押さえる。
込み上げた涙で波打った視界の中、「そうか」と言った天笠先生が航くんの頭をポンと撫でたのが見えた。
「行けるよ。必ず、学校に行ける」
「……本当?」
「ああ、本当だ。約束する」
根拠があっての医師としての約束なんだと思う。
だけど私には、医師と患者を超えた、人と人の、男同士の約束のように見えていた。
「……よーしっ! それじゃ、病院、戻りますか」
二人の背中に、とびっきり明るい声を掛ける。
振り向いた航くんにニッと笑顔を見せると、応えるように航くんの顔にも笑みが溢れた。
「早く帰んないとお祭り終わっちゃうしね。あっ! 今日のおやつ、たこ焼きなんだよ!」
「えっ! たこ焼き?! 俺食べたい!」
「やばっ、白雪さん、たこ焼き焼く係だ! 急げ急げ! ほら、天笠先生も!」
航くんを挟んで来た道を帰っていく。
病院までのその帰り道は、楽しく和やかな、優しい時間が流れていた。