医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛



「……さっきは、すみませんでした」


誰もいない深夜の外来総合受付。

昼間は患者さんでごった返す広い待合も、今は照明も落とされ閑散としている。

何列も並ぶ長椅子のその一角に、私は天笠先生と少し距離を取って並んで掛けていた。

仮眠休憩に行っていいと言われ休憩室に向かっていると、缶コーヒーを手に歩いてくる天笠先生と鉢合わせた。

さっきしてしまったことの気まずさもあり、お辞儀だけして過ぎ去ろうとすると、先生は手にしていたコーヒーを黙って私に差し出した。

反射的に受け取ってしまったものの、無糖のブラックコーヒーが飲めない私。

「すみません、飲めませんでした」とお返しすると、「じゃあ、何が好き」と聞かれ、うっかり「紅茶です」と答えていた。

そのうっかりのせいで、私の手の中には冷たいアイスティーのペットボトルがある。

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