医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
さっきからなるべく日陰を歩いているけど、今日は結構蒸し暑い。
じわりと汗ばむほどなのに、となりを歩く天笠先生はなんとも涼しげ。
まるで、先生の周囲の気温だけが違うかのような様子だ。
「どこか、行きたいとこでも思い出しましたか?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
首を傾げる私に、天笠先生はフッと笑うだけ。
「まぁ、付いてきて」と言った天笠先生が入っていったのは、駅前に聳える高層タワーのエントランスだった。
この辺りでは最高層の建物で、五十階ほどの高さがあるビル。
飲食店などのお店やオフィス、コンサートなどが行えるホールなども入っていたりする複合施設で、ビル自体もとにかく大きい。
一階にあるカフェにしか入ったことないけれど、ここに何の用があるのだろうか。
天笠先生は迷わずに一階のエレベーターホールへと向かう。
「先生、あの、ここには……?」
エレベーター待ちの隙にやっと聞いてみると、天笠先生は左手を上げて腕時計に目を落とした。