医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


天笠先生とは航くんの一件で言い合ったあと、個人的な会話は一切交わしていない。

少し前のようにふとした瞬間に目が合うようなこともなくなり、急に距離が離れたような感じがしている。

あの、うちの小児病棟にやってきた当初、特になんの接点もなかった頃のようにだ。

あの時、なんで開口一番あんな言い方をしてしまったのだろうと、後悔した。

天笠先生は航くんのことを思って、敢えて厳しい言葉を掛けたのだと思えた。

それなのに、私は表面上のことばかりで騒いで、先生が航くんに掛けた言葉を否定した。


『こうして出された薬も飲まずに誤魔化すことは、元気になってほしいと願っている君のお父さんとお母さんを、裏切るということだぞ』


天笠先生の言葉は、航くんも、そのご家族のことも、医師として真っ当に向かっている気持ちが溢れていた。


すみませんでした、と謝りたい。

だけど、今更なんと言って話しかければいいのかわからない。

もしかしたら、少し前みたいにもう話してもらえないかもしれない。

そんなマイナス思考がスパイラルし続けている。

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