ダメ。俺のそばにいて。
想像以上の忙しさに正直てんやわんや。
やっと少しずつ慣れてはきたけど…。
「かしこまりましたっ、バナナキャラメルと苺チョコクリームを1つずつですね!」
メニューを復唱しながら、チラッと教室後方に視線を向ける。
教室の中にまでずらっと並ぶ列は、スペシャルメニュー特典の待機列。
そして、そのほぼ全員が茉優と撮るのを期待しているっていう人気ぶり…!
おかげで茉優は接客には全然来れなくて、もはや写真撮影会になっていた。
まあ、テレビのアイドルよりも可愛いあの顔面の強さなら、こうなるのも頷けるっていうか、当たり前っていうか。
「これ、注文、お願い!」
「任せて!あ、これ、5番テーブルのクレープ!」
「了解!」
厨房とやり取りしながら、出来立てのクレープを運ぶ。
「お待たせしました〜!」
「わぁ〜、赤ずきん可愛いですねっ。」
「ふふっ、ありがとうございます!」
忙しいけど、お客さんと喋ったり、いつもと違う自分になりきれたりするのは楽しいな。