ダメ。俺のそばにいて。





「── あれ…?茉優は?」




今日は特に用事がないし、茉優と一緒に帰ろうと思ったのに。



掃除が終わった後に教室へ帰ると、本人の姿がなかった。



他の子に聞いても、さあと首を傾げられるだけ。



先に帰った?いやでも荷物あるもんね。



……あー…このシチュエーション、なんか私慣れてるかも。



1人、予想した出来事に心底納得して急いで教室を出る。


小学校から繰り返されれば、もう大方その予兆に気づくようになった。



それもこれも、可愛すぎる幼なじみを持った宿命なのかもしれない。



全速力で駆けて、たどり着いたのは体育館裏。




「茉優!」



私が名前を呼べば、案の定メイクの濃い先輩に囲まれていた幼なじみが小さく肩を震わす。



…やっぱり。なんで体育館裏なんてベタな場所選ぶのかな。


恋敵いびりに何か憧れでもあるんですかね?



マニュアルでもあるの?



そんな呑気なことを考えながらその人達に近づく。



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