ダメ。俺のそばにいて。
「…茉優はその先輩と面識あったの?」
私の質問にぶんぶんと首を横に振る茉優。
「は!?お前が色目使ったんだろ!?」
「使ってませんし、喋ったこともないです…!」
茉優の答えにボスの先輩は余計に顔を赤くする。
あ、地雷踏んだ。
やばい、と感じながらも茉優を庇うように先輩達の間に割り込む。
「お前ら!後輩のくせに調子乗ってんじゃねえよ!しかも何もしてないって、私が振られたみたいでしょ!?違うだろ、そいつが色目使ったんだろ!」
ああ、怒りで先輩の顔がどんどん乱れてく。
ついでに言葉遣いも。
……でも、気持ちわからなくもない、けどね。
認めたくないよね、自分よりも可愛い子に勝てないなんて。
「そんなの、茉優が誰よりも可愛いから仕方ないじゃないですか。振られたんです、そろそろ認めましょうよ。」
この状況は慣れてる。きっと上手く目をつけられるずにくぐり抜ける方法もあるはず。
でも、なんだか、なあなあにできなくて。
呟いた言葉は、先輩に向けての言葉なのか、自分に向けてなのかわからなくなった。