ダメ。俺のそばにいて。
「…ん?」
「あの、…庇ってくれてありがとう。私が叩かれるべきだったのに…。」
お礼、言い忘れてた。
からかわれたとはいえ、庇ってもらったから。
難波くんも高身長だから、少し見上げる形になってしまう。
なぜか動きを止めた難波くんに不思議に思っていると、急に頭にポンっと手を置かれた。
「……上目遣いは、ずるいわあ。」
「え?なんて言った?ごめん、もっかい。」
「なんでもなーい。」
ボソッと呟かれたから聞こえなかったというのに、はぐらかされる。
えー…、気になる…。
私が不満そうな顔をしてたのが見えたみたいで、また静かに笑うと私にゆっくり顔を近づける。
「やっぱり気に入っちゃった。星玲奈ちゃん。」
「…え?」
きに、いる…?
「ははっ、これからよろしくね?」
待って、よろしくってなに!?
私が明らかにテンパっているのに御構い無し。
難波くんは、不敵に笑って保健室から出て行った。
加速する鼓動。
問答無用のこの速さに、ただ戸惑うしか出来なかった。