ダメ。俺のそばにいて。
「─…え、じゃあ久遠くんは6年くらいイギリスにいたの?!」
「まあ…4歳から6歳までと、中1からこの前までだから、…そうなるね。」
あの後、なんとなく流れで一緒になった帰り道。
欠伸をしながら、大したことなさそうに言う久遠くんから衝撃の事実を知る。
いや、6年間も留学…!?
家柄も良いって聞いてたけど、やっぱり生粋のお坊ちゃんなのかも…。
本人は本当に興味なさそうだけど。
「だからかな、日本語喋るの遅いってよく言われるんだよね。」
「…え、遅いかな?」
あんまり気にしたことなかった。
でも言われてみれば確かに、他の人よりゆったり喋ってる。
でも逆に、それが久遠くんの優しいオーラを際立たせてて私は好きなんだけどなあ。
「あと俺、反応もそんなに早くないから、なんか急かされる。」
「ふふ、確かに。久遠くんたまにボーッとしてる時あるもんね。」
「何考えてるのかわからないって、よく言われるけど…、そんなのみんなじゃない?」
不満そうに口をつぐんだ久遠くんに、フフと笑ってしまう。
だって、拗ねた子供みたいで可愛くて。