この恋。危険です。
彼は、驚くほど仕事ができる。
正直なところ、自分の仕事に手いっぱいで、看護師が頼んだ仕事なんて忘れているドクターも多い。
例えば…
明日以降の処方が足りないからと、追加処方のお願いをしてもなかなか入力してくれず、時間ギリギリに何度も急かして入力してもらったり、結局間に合わなくて、1日分は臨時処方扱いになったり。「ごめんね。」っていう反応をするドクターがほとんどだけど、「忙しいんだからそんなに言われてもしょうがない」っていう反応を返してくるドクターもいる。『こっちだって、あんたが入力してくれてるか何度も確認してんだよ‼‼‼無駄な仕事させるな‼』って内心思うことも少なくない。
他にも、
検査結果などを、患者さんや御家族に説明するからと時間の約束をしているにも関わらず、時間通りに現れないドクターも多い。手術やら、他の診察やらあるのはわかるけれど。何の連絡もなく、いつ来るのかもわからない状態で患者さんと御家族を待たせるのはよくないと思う。時間になっても現れず、ドクターのPHSに連絡すると、「あれ?今日だった?」とか「すぐ行くから」と言いながら20分以上来なかったり。
こういう時、患者さんと御家族に対応するのは看護師で…
ドクターと患者さんの間に立って対応するのは、看護師の仕事ではあるけれど。尻拭いさせられてる感じが否めない。
看護師には強く出るくせに、ドクターには文句を言わない患者さんも多く、余計にイライラさせられたりする。
慣れてくると、ドクターの特徴をつかんで、早めに連絡したり確認したりするようになるのだけれど。
竹中先生だけは、そういうのが一切ない。
今朝も………
「竹中先生、すみません。カルテにも記載しましたが、703の畑中さん、昨夜より嘔気の訴えがあります。」
「あぁ、確認したよ。」
「制吐剤の指示はなかったのですが、可能であれば使用したいとのことでした。」
「わかった。症状確認して、入力しておく。」
「お願いします。」
そう会話をして1時間後。
頓服で、制吐剤の指示が入っていた。
適当に入力したわけじゃない。患者の状態をきちんと確認した上で。