副社長と恋のような恋を
 ◇◇◇

 副社長の体調は良くなり、arkの新作は順調に進んでいる。

 時計のデザインも決まり、現在サンプルが出来上がるのを待っている状態だ。

「昨日、都築先生から複数のプロットが届きました」

 私がそう言うと、みんながタブレット端末に目を向けた。

 都築麻衣との連絡役は私が担っている。最初は副社長が直々にやろうとしていたのを、全力で止めた。そんなことをしたら、私に二重の労力がかかる。副社長に説明する。そして会議では自分が考えたことを、副社長が話す。それを聞く作者。

 副社長が間に入れば、私と都築麻衣が同一人物だとばれにくくなるかもしれない。これは私が充分に注意すればいいこと。

 なんとか説得に成功し、私が自ら他人のふりをして、プロットの説明をしているのだ。

「三パターンのプロットがあります。片思いをしている男性がタイムスリップをして恋を実らせるもの。親の形見の腕時計をした青年が自分の両親が付き合うまでを追体験するもの。連作短編集として、複数のカップルが出てくるもの。みなさんはどれがいいと思いますか。または、これをこういう形に変えてはどうか。こういう話のほうがいいのではないかなどがありましたら言ってください」
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