副社長と恋のような恋を
「どうぞこちらへ」

　平井さんがゴールドのドアノブに手をかけた。ドアが開くと、真っ白な世界が広がっていた。

「お待ちしておりました」

　中から、女性スタッフが出てきた。

「ドレスに関しては佐藤さんに聞いてください。私はこのあと予定が入っておりますので、ここで失礼します」

　平井さんは副社長と私に会釈をした。副社長はいろいろありがとうと言って、軽く手を挙げた。

「ああ」

　そう言って、平井さんは佐藤さんにあとは頼むと言って出ていった。

「本日、担当させていただきます佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします」

　私がよろしくお願いしますと言うと、なぜか副社長が後ろで笑っていた。この展開、さっきも見た。

「明人さん、もしかして佐藤さんともお知り合いですか？」

「どうしてわかったんですか？」

　副社長よりも先に佐藤さんが反応した。

「さっき、平井さんと久しぶりのご対面をしたときも同じように笑っていたので」

「そうだったんですか。たぶん、川島先輩、私たちが苗字で呼び合っていたのが気になったんですね」

　どういうことだろうと思い、副社長のほうを見た。

「佐藤は俺の大学の後輩で、平井の奥さん」

「え、そうなんですね。びっくりしました」
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