副社長と恋のような恋を
 ◇◇◇

「都築先生は、恋愛ものは短編が向いてるタイプなんですね。主人公それぞれの恋愛模様がいいですよ。サンプルでできあがった時計の写真を見る前に、一編だけ読んだんですけど、時計とのコラボってことを考えないで読んでも充分に面白かったです」と角田さんは興奮気味に言った。

 私も連作短編集という形で、いくつかの短編で恋愛ものを書いてわかった。盛り上がるところをメインで書ける短編が向いていることに。今まで試しに書いていたものは、すべて長編小説だった。恋愛を細かく追っていくのが下手な人間なんだと実感した。

「ありがとうございます。自分が恋愛小説になにが足りないか少しわかった気がします。残りの三編も早めにお渡ししますから」

「そんなに焦らなくても大丈夫ですよね。小説のほうは川島副社長の計らいで時間に余裕があるんですよね」

「そうなんですけど、もう十月だし、のんびりしてるとすぐに年末になっちゃいますから」

「まあ、そうですよね」

 角田さんは、まだ書き終えてはいない短編のプロットを見て、あっと声を出した。

「あの、川島副社長に確認しないとなんとも言えないんですけど、単行本のほうに書き下ろし短編を入れませんか?」
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