副社長と恋のような恋を
外は少し薄暗くなっていた。年末年始が過ぎ、日常の時間が動き出した時期。寒さに小さく身震いをしてから、近くにある地下鉄へと向かう。
外の寒さに、やっぱり真っ直ぐ帰ろうかなと思った。
階段を下りていると、サラリーマンの腕が肩にぶつかった。相手はすみませんと言って、足早に行ってしまった。謝らない人も多い中、謝ってくれただけましかと思い、無意識に肩を撫でた。
そのとき視界がおかしいことに気がついた。何度も瞬きする。ない。左目のコンタクトがない。肩が当たった衝撃で落ちたんだ。使い捨てのコンタクトだから探す気にもなれず、手すりに掴まりながらゆっくりと階段を降りた。
階段を降りると、ちょうど目の前に女子トイレがあった。人に気を付けながらトイレに向かう。パウダーコーナーでコンタクトを外し、メガネに変えた。視界が安定すると、ほっとする。
鏡にはちぐはぐな自分が映っている。それは作家、都築麻衣とただの酒井麻衣が中途半端に存在している。
小説のこと、コンタクトがなくなったこと、ちぐはぐな自分に、今日の日付。全てが嫌な感じだった。
外の寒さに、やっぱり真っ直ぐ帰ろうかなと思った。
階段を下りていると、サラリーマンの腕が肩にぶつかった。相手はすみませんと言って、足早に行ってしまった。謝らない人も多い中、謝ってくれただけましかと思い、無意識に肩を撫でた。
そのとき視界がおかしいことに気がついた。何度も瞬きする。ない。左目のコンタクトがない。肩が当たった衝撃で落ちたんだ。使い捨てのコンタクトだから探す気にもなれず、手すりに掴まりながらゆっくりと階段を降りた。
階段を降りると、ちょうど目の前に女子トイレがあった。人に気を付けながらトイレに向かう。パウダーコーナーでコンタクトを外し、メガネに変えた。視界が安定すると、ほっとする。
鏡にはちぐはぐな自分が映っている。それは作家、都築麻衣とただの酒井麻衣が中途半端に存在している。
小説のこと、コンタクトがなくなったこと、ちぐはぐな自分に、今日の日付。全てが嫌な感じだった。