副社長と恋のような恋を
 その言葉に胸がドキっとした。きっと、村田先輩とあんなことを話したからだ。これはデートという名の恋愛ネタ実践提供タイム。勘違いしてはいけない。軽く息を吐き出して、気持ちを落ち着けてから返信した。

“はい、わかりました”

 するとすぐに返信がきた。

“行くところは、俺が決めてもいい?”

 特に行きたいところもない。副社長に任せようと思い“お任せします”と返す。またすぐに返信がきた。

“船酔いしたことある?”

 船酔い? どこに行くつもりなんだろう。

“乗り物酔いはしたことがありません”

 不思議に思いつつ、メールを返信した。

“よかった。また後で待ち合わせ場所をメールする”

 よくわからないが、週末は副社長と会うという予定が入った。

 ◇◇◇

 週末、副社長が待ち合わせに指定した場所は、あのホテルのラウンジだった。そこへ行くとソファに座り、本を読む副社長がいた。

「副社長、お待たせしました」

 本から顔を上げた副社長は少しムッとした顔をしている。

「どうかしましたか?」

「別に」

 副社長は本をカバンにしまい立ち上がった。なにも言わず歩き出す副社長に戸惑って「あの」と声をかける。

「ほら、都築先生、行くよ」

「そっちの名前で呼ばないでください」
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