絶対に守るから。
何であれ、レンの所に行く手間が省けて良かったな。でも、俺は会ってほしくなかった。丁度良く訪ねてきてほしくはなかった。彼女が危険な事をしようとしているのは鈍い俺でも分かっていたから。

「レン、1つお願い。城で舞踏会を開いてほしいの」

「・・・。ヘゥインのためになるならやってみるよ」

自分の計画を話し始めた彼女の顔はどこか引き吊っていて目が離せなかった。険しいような、強張っているような。何か重い物を心に置きながら話す彼女の表情は見ていたくないはずなのに目が離せなかった。彼女の辛そうな表情は嫌っていたはずなのに、逸らせなかった。
呆れたように笑ったレンの表情を見て、お嬢さんは肩を撫で下ろした。安心したような笑顔は俺を喜ばせたと同時に不安と悲しみを引き寄せた。俺はきっと怖いんだ。
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