絶対に守るから。
いや、一人だけ今の状況でも許可を出す国王を知っている。レンなら許可しかねない。国王をうまく説得してお嬢さんの思い付きを許可させようとするだろう。レンは見ているだけのくせにお嬢さんの頼みは絶対に断らないからな。

「レンなら何とかしてくれる。きっと皆、笑顔になれるから」

「噂でもしていたのかい?ヘゥイン?」

部屋の扉を開けて入ってきたのはレンだった。どこで会話を聞いていたのか、ただの直感なのかは分からない。でも、お嬢さんがレンの笑顔に笑みを返していたのは確かだった。
お嬢さんはいつもそうだ。無理をする時、自分が不利な状況に立とうとする時。決心が揺らがないように誰とも目を合わせようとしなくなる。決心が鈍り、余計に危険な目に会ってしまわないようにするため、なってから後悔しないようにするために目を合わせなくなる。
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