絶対に守るから。
屋敷に来るまでは野宿をしたり、宿に泊まって布団の上に寝たりしていたのに。今までだってちゃんと眠っていたはずなのに。明日死ぬかもしれない今日は何も考えず、完全に安心しきって寝る事が出来ていたんだ。
目が覚めるとヘゥインの笑った顔が目の前にあった。城に住む前はよく同じ布団で寝て、笑って起きていたっけ。懐かしい分、思い出すと何も無くなってしまった城に帰りたくないと思うのは俺が子供だからなのか。

「おはよう。よく眠れた?」

「おはよう。ヘゥインは?」

額を寄せて笑い合う。城では召使いと姫という一線を引かなきゃいけなかったから本当に嬉しいんだ。まるで家にいた日々が戻ってきたみたいでとても懐かしくて、隣にいるだけで楽しくて。どうして屋敷にいるのかも忘れてしまいたくなった。
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