絶対に守るから。
いや、兵士として真っ直ぐ姫の所に向かうのは当たり前の事なんだろう。でも、水浴びだけでもしておくんだった。やっぱり臭うよな。不潔だって絶対に嫌われたよな。言葉だったらまだ撤回できるのに臭いなんて撤回のしようがないだろ。

「ううん、いいの。働いている人の臭い、好きだから。・・・降りよっか」

離そうとした俺の腕を慌てたように掴まえようとする彼女が可愛くて、また心臓が壊れてしまいそうだった。脈が頭に響いて全てが破裂してしまう勢いだった。でも、それは俺だからじゃない。彼女が元々、働いている人の臭いという物が好きなだけで俺だから好きだと言った訳じゃないんだ。
静まれ、俺の心臓。俺だからではないという証拠に、またいつもの笑顔で城内へ戻ろうとしているだろう。彼女は何も悪くない。彼女の見せる表情や聞こえる言葉に勝手に浮かれ上がっているだけじゃないか。
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