絶対に守るから。
仲間を生きた屍にした僕を愛してしまったがために、泣きながら僕を斬ろうとする彼女の表情を見てみたいとも思った。でも、僕が一方的に死を待っているような状態で殺されそうになる事を望んでいたんじゃない。止めてくれと思いながら襲い掛かってくる彼女を抱き締めてあげられる結末を望んでいたんだ。

「目、瞑って。一瞬で終わるから」

「こんな馬鹿げた奴のためにお前の手を汚させはしない」

「ハル・・・!?」

本当に殺される。覚悟を決めて彼女の言うように目を瞑った時だった。一瞬にして僕の体は自由を取り戻した。目を開けると手は動き、前にも後ろにも歩けた。もちろん、僕の心臓はちゃんと動いていて天国に行ってはいない。けれど、彼女を見ようと目の前を見るといっそ死にたかったと後悔した。
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