絶対に守るから。
驚いてはいたものの、ハウラムに抱き締められながら安心したように涙を流す彼女の姿があったんだ。ハウラムの腕の中で泣く彼女の反応は僕の母が父に抱き締められて泣いていた時と同じだった。女が愛する人の腕の中で流す、特別な涙だった。

「お前は外にいる奴と一緒に城へ行ってもらう。命が1日伸びただけありがたいと思うんだな」

僕の中に流れていた魔力と体力が、エレナードに両手に掛けられた手錠のせいで吸い取られていく。そうか、僕は死刑になるほどの罪を犯していたのか。彼女に愛されるという事実は死刑を受け入れても手に入らないほど大きな物だったんだな。もう少し早く知りたかった。そうしたら死ぬまで遠くから見てたのに。僕は死なずに済んだのに。
目隠しされた僕の目は死ぬまで開かないんだろう。なのに何で最後に見えた顔がハウラムと彼女の、愛し合う姿なんだよ。
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