絶対に守るから。

やれやれ

城の兵士に変態を引き渡すと、ハウラムは俺にお嬢さんを託して去ろうとした。いい加減にしてくれ。今の二人を見て誰が間に入れると言うんだ。わざとやっているのであれば俺は怒鳴り散らすぞ。

「ハウラム。一緒にいる奴が違うんじゃないか?な、カーレイジ」

幼いカーレイジでも分かるほど、二人は愛し合っている。けれど、二人は決して後1歩を踏み出そうとしない。お嬢さんは何十、何百という数の生き物を殺してきた過去と体があるから。ハウラムは黒に染まった体で誰かを家族として愛したくないというお嬢さんの気持ちを知っているから。
お嬢さんの罪は簡単に拭い去れるような物ではない。彼女の罪のせいで愛してほしいと言えないハウラムの気持ちが分からん訳でもない。でも、今日くらいは良いんじゃないか。今日くらい、ずっと泣けなかった友のために流す涙に肩を貸しても良いだろ。
< 166 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop