絶対に守るから。
八章・望まぬ再会

俺には関係無いけど

俺たちが一人になってから10年、ヘゥインは目を覚ましたけれど眠っていた期間が長過ぎて立ち上がる事が出来なくなっていた。エレナードと一緒に立ち上がり、歩く練習はしているけれどいまいち効果は出ていない。仕方無いと言ってしまってはそれまでなのかもしれないけれど、ヘゥインの気持ちを考えたらまた歩けるようになってほしいと願っている俺がいた。

「よし、行くか」

ゾーラさんの墓に手を合わせた後、俺たちは他の兵士たちの墓にも向かう予定だった。俺には馴染みのない人々だけれど、ヘゥインには大切な人だから、墓参りについてはあまり口出ししないようにしている。今日墓参りに行こうとなったのは吸血鬼と人間の間に生まれた子供が戦死したと聞いたからだ。
家の近くにあるゾーラさんの墓とは違い、兵士たちの墓は街まで降りて行かなければならない。いつまでも兵士のありがたさを忘れないようにするためだそうだ。
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