絶対に守るから。
ヘゥインと吸血鬼と人間の子供は実の兄弟のように仲が良かったんだろう?
泣かずにはいられないだろう。亡くなった事を聞いた時でさえ思考回路が止まり、気絶してしまったんだ。もしかしたら気絶では済まないかもしれない。

「久しぶり」

車イスから下ろしてもらい、リオディナと書かれた墓の前に座り直したヘゥインは美しかった。泣きそうなのに嬉しそうな笑顔がずっと会いたかったんだという言葉を何も言わずとも伝えていたから。手を伸ばしてそっと触れた場所は、たぶん生きていれば頬の辺り。ゾーラさんの墓の前でも思ったけれど、ヘゥインにとって今日会う亡くなった人々は本当に愛した人なんだ。
ただ、俺はヘゥインが愛した人々を知らない。体の中にいたと言っても姿を見たり声を聞いたりしたのは彼女の体から出てきた時が初めてで、体の中ではいつも真っ暗闇の中。彼女の心と脳と繋がれていただけだった。
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