絶対に守るから。
ただ、彼女が姫になった運命を恨む事も出来なかった。だって見ているだけの存在だった彼女が目の前で俺に笑いかけてくれているんだから。俺の名前を愛しい声で呼んでくれているのだから。

「ミオラス、高い所はだめ?」

「姫様のお側であればどんな所でも怖いです」

別に俺一人であれば高い所なんてどうって事ないさ。高い所が苦手な訳じゃないし、幼い頃は木登りだってしていた。でも、彼女がいるから怖いんだ。少し動いただけで落ちてしまいそうな所に座っているから、もし落ちてしまったらと考えると気を失いそうになる。
ただ、隣に座ってから気が付いた。さすがにはっきりと言い過ぎたのではないか、もう少し立場を弁えた言い方をした方が良かったのではないか。でも、彼女が立場なんて気にするはずもなかった。俺の顔を覗き込みながら、楽しそうに笑みを浮かべていた。
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