絶対に守るから。
何を訊いてもエレナードは彼女の盾になるだけとしか言わなかった。他に言う事があるとしたら“彼女に依頼が来たから出かける”くらいだろうか。
ただ、何なんだろう。ヘゥインとハウラムの間に流れている張り積めているような楽しんでいるような不思議な空気が気に掛かった。ハウラムの頼みを聞く代償として命の事しか聞き返していないはずなのに何でハウラムは楽しそうなんだ。

「城の外で暮らせるよう、連れ出してやるよ」

何を言っているんだ。王族を命令も無しに外へ連れ出すなんて重罪。ハウラムも死刑対象者になりかねない。なのに、ただ一時の風邪のために重罪になる提案をするなんてどうかしている。
いくらいくつもの戦場を乗り越えてきたからって死ぬのが怖くない訳じゃないはず。一体、ハウラムの提案の奥に何があるというんだ。
< 42 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop