絶対に守るから。
本当に気絶してしまいそうになった。意識が遠退いて高い所にいる事も忘れ、体が力無く揺れてしまった。すぐに目を逸らしたから一瞬フラついただけで済んだのかもしれないけれど、きっと目の逸らせない状況にいたら彼女の上目遣い一つで気絶してしまったと思う。

「ミオラスはこの城、好き?」

「どちらかと言えば好き・・・です」

両足を抱え込んだ彼女の視線の先に俺はいなかった。彼女の視線の先にいたのは寂しそうに沈んでいく太陽で、こっちを見て笑っていてほしいと願っている俺ではなかった。
俺が城を好きなのは彼女がいるから。彼女のいる世界が、俺の視界に彼女が入り込む場所ならどこでも良いんだと思う。彼女がいればどこにいたって嬉しくて幸せだから。だから彼女のいるこの城が好きなんだ。
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