絶対に守るから。
長期間離れた任務では気になるのは自分が仕えている姫様だから気になっているだけだと言い聞かせた。目の前にいなくて心配するのも仕えているから怪我でもされて自分のせいになるのが嫌なんだって思うようにしていた。でも、何をどう考えてもダメだった。何度言い聞かせても彼女のころころと変わる表情を見る度、彼女の影が見える度。胸がときめいて鼓動が早まって体が火照り出す。諦めたくないんだって心が騒ぎ出すんだ。

「さっ、下に参りましょう。皆が待っています」

「うーん・・・。もう少しいちゃ・・・だめかな・・・?」

胸の高鳴りに耐えきれなくて早く屋根の上から降りようと促してもダメだった。早く降りなければ俺の心臓が持たない。なのに、彼女は俺の服を遠慮がちに掴んだ。甘えるような瞳で俺の鼓動が更に早まっている事を知らずに、彼女はまだここにいたいと願った。
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