好きな人は策士な上司(『好きな人はご近所上司』スピンオフ)
「莉歩のご両親にご挨拶に行きたいから、ご都合伺ってくれる?」
帰り道、尚樹さんは私と指を絡めて歩きながら言う。
「あ、うん。ほ、本気?」
まだ実感がわかなくて上司で婚約者になった人の秀麗な横顔に尋ねた。
「当たり前、撤回は受け付けないから。婚約指輪は一緒に選びたいから、今週末に買いに行こうな。潤にも報告しなきゃな。早く莉歩が俺の婚約者だって皆に言いふらしたい」
尚樹さんはふわ、と蕩けそうな笑顔を浮かべる。カアッと真っ赤になる私。
「莉歩、可愛い。やっと俺のものになった」
甘い声で尚樹さんが私の頰にキスをした。妖艶な眼差しが私を真っ直ぐに射ぬく。視線をそらせない。胸の速い鼓動がおさまらない。

「莉歩、一緒に俺の家に帰ろう」
尚樹さんが絡めた指を持ち上げてキスをする。触れられた場所が熱い。
「これからもずっと一緒にいよう」
真摯な眼差しがひた、と私を見据えて動けなくなる。全身に甘い痺れが走って、身体中が熱くなる。コクンと頷く。尚樹さんが花のように艶やかな笑顔で微笑む。彼は私の鼓動を簡単に暴走させる。

最初は大嫌いで苦手な上司だったのに、今はこんなにも愛しい。この人の甘い瞳に映るのがずっと私でありますように。
私と尚樹さんは再び歩き出す。どんなときも私の歩幅に合わせてくれる大好きな上司。

これから先、この人となら私はずっと幸せに歩いていける。




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