Deal×Love
「おはよう」

すぐに微笑みで返してくれた。
私の心臓は朝から忙しない。

「今日は何時にお帰りの予定ですか?今日も早いなら晩御飯待ってます」

「……昨日はたまたま。基本遅いから。それに俺に合わせる必要は無いよ?」


今、気付いた。

彼の穏やかそうな双眸の瞳と常に微笑を携えた顔は、穏便に相手を突き放すための微笑なのかもしれない。


「ひさ子さんに作ってもらった朝御飯を一緒に食べましょう。温めます」

私はそう言ってキッチンに入っていくと、冷蔵庫を開けて朝食を取り出し、電子レンジに入れた。

私は彼に「一緒に食べませんか?」とわざと訊かなかった。
突き放されるのが怖いから。

朝食を温めてダイニングテーブルに並べると海さんは座ってくれた。

強引な形でも彼とこうやって朝御飯を食べれる状況を作れたのは嬉しい。
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