Deal×Love
その時、手の中でまた携帯が震え始めた。


「まさか、海か?違う電話からかけてきた?」

バイブ音に気付いた洸君が眉間に皺を寄せながら訊く。

海さんの携帯番号は掛かってこないように洸君が今、設定した。
暫く静かだった。

それなのに、どうして……?

私は着信の相手を確かめようと携帯を見るが、視界は涙のせいで歪んでいて見えなくて。
急いで涙を手の甲で拭ると画面を再び見る。

「え?」

海さんじゃくてホッとしたせいか、口からは不意を突かれた様な気の抜けた声が出た。

相手は海さんじゃなかった。
妹の桜だった。

「桜って?」

心配で画面を盗み見した洸君が訊いてきた。

「妹なの……ちょっと出るね」

桜は私が結婚してから一度も電話を掛けてきたことは無い。

何かあったの?
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