Deal×Love
「もしもし、桜?どうしたの?」

少し不安になりながら出ると、

『御姉様、助けて下さい……』

電話の向こうからは泣いているだろう鼻声の桜。

「助けてって何かあったの?」

『御父様が、私まで、お見合いをさせると……』


は?


耳から伝わった鼻声混じりの言葉は、一瞬で脳へと一気に大量の血を昇らせた。
海さんのことで苦しい気持ちよりを忘れてしまうくらい、湧き起こる父への怒り。
携帯を持っている手は怒りで震え出す。


「今から帰るわ。心配しないで、桜。私が絶対に結婚なんてさせないから」

怒りで戦慄きながらも、桜を落ち着かせるために喉の奥からなんとか優しいトーンを引っ張り出してきて返した。
心もとない桜の『わかりました……』の声を訊くと私はすぐに通話を切り、洸君へと向く。
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