Deal×Love
そんなアリサは突然私にぐるんと振り向くと先程降りたばかりの車に私を押し込み、自分も乗り込んだ。


「あんのクッソ親父!私の椿を無理矢理結婚させるとは!今から本多家に乗り込んでガツンと言ってやるー!というわけで運転手さんゴー!!!」

そして怒り狂った顔と声で叫ぶと、発進しろと前に向かって指差すアリサ。

かなり激昂してらっしゃる。
運転手の園田さんが困っている。
それよりも車に入ったのに、これじゃあ声が外まで漏れいるだろう。
とりあえずアリサに話そう。

園田さんに「少し車にアリサと二人きりにさせて下さい」と頼み、車から降りてもらった。


「アリサ、ありがと。でもね、契約の結婚なの」

「は??」


私は呆然としているアリサに、昨日あったことを洗い浚い説明した。


「桜ちゃんのために犠牲になるなんて……なんて美しい妹愛……」

アリサは私の話を聞くと、ハンカチを出して目元を拭いだした。
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