Deal×Love
今だけ泣かせて。

明日からは泣く暇もない程、頑張らなきゃいけないから……




『ガチャリ!』


心の痛みを吐き出すために泣いていたら、突然勢いよく扉が開く音が聞こえてきて、驚いた私は反射的にビクっ!と思い切り肩を竦めた瞬間すぐにカーペットで音は半減されているが、ポスッポスッポスッ!と慌てているかのような早足で近付いてくる足音が聞こえてきた。

アリサ、ノックもせずにどうしたの?
何かあったの?

「アリサ、どうしたの?」

急な事で涙が止まってくれなくて、泣いているのが見られたくなくて、これ以上近付いて欲しくなくて、涙を拭いながら泣いているのがバレないように俯いたまま焦って問い掛けると鼻声になってしまった。

泣いていたことがバレないだろうか、と不安になる。

耳を澄ます。
だけどアリサは何も言ってくれない。
足音がどんどん近付いてくるだけ。

私の言葉に反応してくれない。
向き合って話さなきゃいけないほどの何かがあるの?

先程とは違う不安に襲われる。

何があったのか確認したくて仕方がなくなると、涙が止まってくれた。
急いで涙を拭いきると、私の視界に映り込んできたのは予想外の大きな革靴。
目を見開いたと同時にフワリと鼻に届いてきたのは大好きな柑橘系の香り。
< 402 / 424 >

この作品をシェア

pagetop