Deal×Love
「椿」

耳に届いてきたのは心地好いテノールボイス。


何で、居るの……?

状況が全く掴めない。
私は上を向けずに下を向いたまま、思考を巡らせる。


もしかして……一秒でも私と早く離婚するため?

目の前で別れてくれなんて言われたら、私、心が完全に壊れる。


行き着いた答えに身体がカタカタと震え始める。

私は怖くなって、ベッドに座ったまま後ろに這うように海さんとは逆方向に逃げようとした。


「逃げないで」

それなのにガシッと右手を掴まれ阻まれて。


「やっ、離してっ!」

私は彼を見ることすら出来ずに掴まれた右手を振り解こうとする。
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