Deal×Love
「キスしたい」

「え」


海さんの言葉に私は驚いて固まった。
だって数分前までは離婚のことを考えていたんだもん。
キスをする心の準備はしていない。

動悸は更に激しくなり、鼓動が鼓膜まで響き始める。

「だって俺、椿の旦那様なのに、キスしてないっておかしくない?それなのに洸としてるっておかしくない?」

頷かなかった私が不服な海さんは、私を見ながら目を細め、口を尖らせる。

「椿はしたくない?」

そう訊かれて、私は首を激しく左右にブンブン振る。
だって大好きな海さんとしたくないわけがない。

「必死だね」

私が即答したのが嬉しかったのか海さんにクスクス笑われた。

必死すぎた?
女なのに、はしたない?

耳まで熱を感じながら、急激に羞恥心に襲われる。


「じゃあ、目を閉じて」

余裕そうに微笑んで言われて、先程の羞恥心なんて一瞬で吹っ飛ぶと、すぐに激しいドキドキが襲ってきて、心臓は大きな太鼓を思いきり鳴らしているかのような大音量。

今からすることでいっぱいいっぱいになったから。
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