Deal×Love
背中からドキリとするテノールボイス。

恐る恐る振り返ると、海さんにそっくりなあの人がやっぱり居て。

私は顔面蒼白。

「学生証、お忘れですよ」

しかも私の学生証を持って。

何で此処にいるの!?
というか何故に私の学生証を!?

「貴方!返して下さい!」

私は両手を構えて学生証を持っている右手に飛び付こうとした。
が、ひょいっと高くに上げられてしまった。
彼の顔を見ると、彼は私を見て片方の口角をニヤリと上げた。

「違う、貴方じゃない」

「え?」

「洸だよ、神島洸《かみしまこう》」
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