あけぞらのつき


***

禁域の水鏡(みずかがみ)に、波紋が浮いた。


まるで、何かと共鳴するかのように、それは静かに震えていた。

水鏡のほとりに立つ樹精には、その音が聞こえた気がした。


運命に導かれたタマシイの、重なり合って鳴る音が。
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