あいつとお前と俺。
今まで大人しいと思っていた涼子は、
本当は面白くて毒舌女子だった。



ボケが善で、ツッコミが涼子で
俺はそれを見てる仲裁役。


そんな関係が出来上がっていた。







最初は、
俺たちが無理矢理涼子に
一緒に登下校しよう!!と誘っても、

「いいよ別に今まで通りで。」

と言っていた涼子が、






「おはよー。大地!また寝坊?」



と、朝迎えに来てくれたり、





帰りには、

「今日もありがとう。」

と笑ってくれるようになった。






それが純粋に嬉しかった。

きっと善も同じだと思う。








そして、4.5.6年と、

そんな関係が続き、






もうすぐ卒業ってゆう

6年の冬だ。









最大の悲劇が起こる。













善の父親が、自殺をした。


仕事場の近くの小さな公園で。






善の父親は、

善とは違って大人しくてもの静かで、

話すととても優しいおじさんだった。







まだ小さかった俺はその頃は
よくわかっていなかったけど、

どうやら心の病気に
長年悩まされていたらしい。


夜中に何度も叫んだり、
幻覚を見てパニックが起きたりと、

今までも何度か大変なことが
起きていたみたいだ。






昔から優しくて、
人の事を庇ってばかりで、

自分の立場がどんどん弱くなって、

損をする役回りだったんだと、

善の母ちゃんは
仏壇の前で教えてくれたことがある。









ムードメーカーの善が、

家庭でそんなことになっているなんて、

ずっと一緒にいる俺が

全く気付いてやれなくて、

このときも俺は自分の無力さに

情けなく、悔しかった。







善は、
その日から一度も小学校に来なかった。

卒業式の日も、善の姿は無かった。



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