2番目に君を、愛してる。

震える手では、なんの感触もしなかった。


痛みに顔を歪めた新藤さんと目が合い、涙で視界が霞む。


私たちは傷つけ合うために出逢ったのだろうか。


あの夜、私はあなたを助けたい一心だったのに。




「馬鹿!おまえなにやってんだ!」


新藤さんから解放された兄が、私の手からナイフを払い落とした。


裂かれたパンツの切れ目から、鮮血が滲み出す。



「救急車…お兄ちゃん、救急車を!」


「分かってるよ!」


兄が携帯電話を取り出すと、即座に新藤さんによって振り払われた。

コトン、と床に落ちる鈍い音がした。



「救急車は呼ぶな」


「なに言ってんだよ!強がるんじゃねえよ!」


「俺に!あんたの妹を傷害罪で逮捕させるつもりか?」


傷害罪…。
そんなものは怖くない。
牢屋に入れられようと、この先ずっと日の当たる場所を歩けないことになろうと、どうでもいい。

一番怖いのは自分自身だ。
私は、大好きな人を、
躊躇いもなく傷付けたのだ。

一歩間違えれば、殺していたかもしれない。



「ちっ。止血してやる!」


「…頼む」


兄が新藤さんの応急処置をしている間、
その場にしゃがみこみ、見ていることしかできなかった。

吐き気がこみ上げ、心臓を鷲掴みにされたかのように上手く呼吸が出来ない。


いっそ、このまま、死んでしまえば良い。


私に生きている資格なんてないじゃないか。


死にたい。




「なっちゃん」



聞こえた声に反射的に顔を上げる。

すっと、新藤さんの手が伸びてくる。


ああ、このまま。

私の首を絞めてくれればいいーー。


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