2番目に君を、愛してる。

ーーこの事件が片付く時、絶対に新藤冬樹を許してはならない。


ーー事件解決の日まで、新藤冬樹のことを甘えさせてやって。なっちゃんが優しくすれば優しくするほど、あいつの良心は傷んでいくはずだから。



新藤さんがお墓参りに出掛けている間の美崎さんとの会話を思い出した。
美崎さんも最初から全てを知っていたのだろう。



もしかして新藤さんの元カノでもある吉沢さんも知っていたのではないか。


「新藤は、なっちゃんの質問に全て答える義務があると思うよ」


美崎さんは私の目を見て小さく頷いてくれた。励ましてくれているのかもしれないが、今の私の心には何も響かない。


病院に着くまで、私はもう口を開かなかった。


人生のどん底は見た。
両親がいなくなった時、幸せになれないことを悟った。

それでも前を向いて生きてきたつもりなのに、こんな仕打ちが待っているとは、前世で最悪な行いをしてしまったのだろうか。



「暗い顔すんなよ」


新藤さんが美崎さんと診察室に入っている間、廊下に置かれていた長椅子に兄と座った。


「行き先くらい言って欲しかった」



兄を睨みつける。
強がっていないと、耐えられない。



「…ごめん。まさかこんなことになるなんて…」


「事件のこと詳しく教えて」


兄が姿を消す理由に、
新藤さんが兄を追う理由となった事件。

巻き込まれた以上、真相を聞いておきたい。

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