大江戸ロミオ&ジュリエット

「……案ずるな、志鶴。
親同士は夫婦(めおと)にしようと思うてたやもしれぬが、おれにはあれが妹以上には思えぬ」

多聞は、大きな両手のひらで志鶴の両頬をすっぽりと包み、甘くやさしく微笑んだ。

ゆえに、此度(こたび)の志鶴は、俯くどころか目を伏せることさえもできず、おかげでさような顔をしかと見ることができた。


「おれの嫁は……おまえだ。
それゆえ、(はよ)うおまえがほしい」

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