大江戸ロミオ&ジュリエット

大門からまっすぐに突っきる大通りを仲之町という。

一番初めの辻の右手が江戸町一丁目、左手に伏見町と江戸町二丁目があり、この辺りの二階()で大名御殿のごとき店構えが「大見世(おおみせ)」だ。
いわゆる「呼出(よびだし)花魁(おいらん))」はこの大見世にしかおらず、しかもたったの数人である。

二番目の辻の右手が揚屋町、左手が角町で、二階家だが少し格の落ちる「中見世」だ。
ゆえに、この見世では「呼出」を置くことが認められず、その下の「昼三(ちゅうさん)」が最上位である。

三番目の辻の右手が京町一丁目、左手が京町二丁目で、一番格下の「小見世」や「(きり)見世」が(ひしめ)くように軒を連ねている。
「大見世」や「中見世」でなにかやらかして売っ払われてしまった者や、年季が開けたにもかかわらず負い目(借金)が残っている者、傾動(けいどう)で御公儀から(やっこ)女郎に罰せられた者などが(すが)りつくどん底の見世だ。

これらの見世は、もちろん建物の規模や室礼(しつらい)の違いもあるが、一目でわかるのは(まがき)の形だ。

籬とは、表通りに面した一階の、女郎たちが客引きのためにずらりと座る「張見世」にある目隠しの格子のことだ。

大見世は全面が格子になっていて中の女郎の顔がわかりづらいが、中見世は右上の四分の一が空いているためそこから覗けば見える。さらに小見世などになると、上半分の格子がすっかりなくなるから見放題だ。

格が落ちる見世になるほど、女郎たちの顔が丸見えになり、品のない下卑(げび)た見世となる寸法だが、実は買う方にとってはしかと「見えた」方がしくじりが防げて好都合なのだ。

さりとて、流石(さすが)に格の高い見世になればなるほど、いい女が集まってくるのが世の常だ。

もっとも、呼出や昼三は張見世には座らない。
さような客引きなどをせずとも、馴染(なじ)みの客がきっちりついているからである。


多聞たち「見習い」は、かような廓内の見世を昼間のうちに見廻るのが御役目だった。

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