大江戸ロミオ&ジュリエット
「あ…構いもせず、ご無礼仕った。
……今、お茶を持って来させるゆえ」
志鶴は縫い物を脇に置いて、立ち上がった。
とたんに、縁側から見る庭の景色がぐらりと揺れた。
……あれっ、目が定まらぬ。
志鶴は思わず膝をついた。
「……どうした、志鶴」
帯刀が駆け寄ってきた。
尚之介も気がかりな顔をしている。
「大袈裟な……少し、立ちくらんだだけでござりまする」
志鶴は心配は無用と微笑んで、もう一度立ち上がろうとした。
しかし、その刹那、胃の腑が急に締めつけられて吐き気がしてきた。この二、三日ほどの間に、それは日に何度かあった。
……あぁ、またか。
と、思ったのもつかの間。