大江戸ロミオ&ジュリエット
「……っていうこった。
同心、悪りぃが諦めてくんな。
志鶴は一生涯、いや、あの世でもおれの女房だ」
襖の向こうには、腕を組んだ多聞が立っていた。
「たとえ、相手がどこの大名であろうと、
たとえ、公方様であろうと、
たとえ、京の天子様であろうと……」
多聞が、にやりと笑っていた。
いつもの「浮世絵与力」の不敵な笑みだった。
知らず識らずのうちに、あれよあれよという間に、志鶴の身も心もかっ攫っていった……
……あの愛しい笑顔だ。