イジワル御曹司様に今宵も愛でられています
「いえ、先生とご一緒できて光栄でした。マネージャーから聞きましたけど、地方での舞台挨拶にもご一緒していただけるとか。ぜひご案内したいお店があるの。今から楽しみです」
「そうですね、時間が合えばぜひ」
優雅な笑顔でそれとなく食事に誘う氷見さんに対し、智明さんの返事は幾分つれない。
いつもこんなふうにさらっとかわしてるんだろうか。
「あら、そちらの方は?」
うっとりと智明さんに見惚れていた氷見さんが、今初めて気づいたとでも言いたげに私を見た。
すみません、こんな一般庶民が智明さんの側にいて、と小さくなる。
「四月から私のアシスタントを務めています藤沢と申します」
「藤沢です。よろしくお願いいたします」
智明さんから紹介され、私はぺこりと頭を下げた。
あれ、私を見る氷見さんの表情がさっきよりもほんの少し険しい。
「……珍しいですね。先生が女性のスタッフを連れてらっしゃるなんて」