イジワル御曹司様に今宵も愛でられています

「それじゃ、仕事頑張って! 職場近いんだし、たまには顔見せてね」

「はい、ありがとうございました」

 店先まで見送りに出て来てくれたみんなに笑顔で手を振りながら、お店を後にした。


 お店が入るビルが見えなくなるところまで一息に走って、足を止める。

 ……なんでだろう。どうして私は、テレビで活躍する羽根木さんの姿を見てこんなにもショックを受けてるんだろう。

 なんとなく落ち込んだ気分のまま人ごみの中を歩いていると、鞄の中に入れていたスマホの通知音に気づいた。


「……えっ?」

 やはり今日はまだ、羽根木さんからの着信はない。

 代わりに親友の恵理からの着信やメッセージの履歴で画面が埋め尽くされていた。


 いつの間にこんなに? ぼんやりしていたせいか、恵理からの着信にも気づかなかった。

 何かあったんだろうか。メッセージは見ずに、とりあえず恵理に電話をかける。

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